レオノール・セライユ 「若い女」

「友達は少ない。けど話す人ならいるわ。あなたとだって、このまま続ければ打ち明け話もできる」

「パリのいいところ?そうだな。隠れていられるところかな」

都会で生きる、生活するということ。女として、男として。それぞれの孤独が寄り合って摩擦し合って、熱が生まれる。その熱を1986年生まれの俊英レオノール・セライユはじっくりと、誠実に97分間繋いでいく。


主人公ポーラは教授だった写真家と10年間の蜜月の後、アパートを追い出されパリで放浪の身になってしまう。長期滞在したメキシコでの思い出に浸るポーラ。夢から現実への、彼女にとってはあまりに突然な別れ。しかし映画は非常に手際よく、彼女のあまりに多い問題点を描き出す。手癖の悪さ、口の悪さ、その場しのぎの虚言癖。


そんな彼女をセライユは甘やかさず厳しすぎず、絶妙なバランスを保ったままスクリーンに映し出す。そしてやがて、ただ痛々しかったポーラが柔らかく、まるで季節のように穏やかに移り変わっいく。それを説明的なセリフやカットではなく、例えば子守相手の子供やバイト先の同僚との関係性の変化の中で描いていくのがとてもステキだ。